
「立秋」って秋の始まり?本当の暑さはこれからなのに?
「立秋(りっしゅう)」という言葉、カレンダーなどで目にしたことはありますか?
「秋が立つ」と書くから、もう涼しくなるのかな?と思いきや、実際には一年で最も暑い時期の真っ只中!
「え、どういうこと?」と不思議に思う方も多いかもしれませんね。
日本には、太陽の動きに合わせて一年を24分割し、季節の細やかな移り変わりを示す「二十四節気(にじゅうしせっき)」という古くからの暦があります。
「立秋」はこの二十四節気の一つで、暦の上では秋の始まりとされる、とても重要な節目なのです。
この記事では、そんな「立秋」の本当の意味や正確な時期、まだまだ続く厳しい暑さ(残暑)を乗り切るための食べ物、そしてこの時期ならではの過ごし方のヒントを、分かりやすくご紹介します。
「へえ~!」と思える豆知識も交えながら解説しますので、読み終わる頃には立秋について詳しくなり、残暑を元気に過ごすヒントが見つかるはずですよ。
立秋とは? – 暦の上での「秋の始まり」
立秋は、二十四節気の13番目、秋を6つに分けた節気の最初にあたる節気です。夏の最後の節気である「大暑(たいしょ)」の次に来ます。読み方はそのまま「りっしゅう」。
毎年日付は少し変動しますが、だいたい8月7日か8日頃にあたります。
2025年の立秋は8月7日(木)です。
「立秋」という名前は、「秋が立つ」「秋の気配が立ち始める」という意味を持っています。つまり、暦の上ではこの日から秋ですよ、という宣言の日なのです。
「えっ、一番暑い時期なのに秋?」 そう、ここが立秋の面白いところ!多くの人が一年で最も暑さを感じるのは、まさにこの立秋の頃ですよね。
それもそのはず、前の節気「大暑」の頃にピークを迎えた暑さが、まだまだ続いている時期だからです。
ではなぜ「秋」なのかというと、二十四節気は古代中国で作られたもので、その基準となった中国の気候と日本の気候にはズレがあること、
そして太陽の動きを基準にしているため、実際の体感温度とは少し差があるのです。
重要なのは、「暑さのピークは過ぎて、これからは少しずつ秋の気配が現れてきますよ」という季節の変わり目のサインだということです。
この立秋を過ぎてからの暑さを、私たちは「残暑(ざんしょ)」と呼びます。
「暑中見舞い」ではなく「残暑見舞い」を出すようになるのもこの日からです。
立秋の頃の季節感 – 猛暑の中に潜む、かすかな秋のサイン
立秋の頃は、まだまだ夏の太平洋高気圧が勢力を保っており、厳しい残暑が続くことがほとんどです。「猛暑日(最高気温35℃以上)」も珍しくなく、熱中症への警戒は引き続き必要です。
しかし、よーく自然を観察してみると、ほんの少しずつですが、秋の気配が感じられるようになってきます。ここに注目するのが、立秋の時期を深く味わうコツかもしれません。
空の変化
大暑の頃に見られたモクモクとした入道雲(積乱雲)だけでなく、
空の高いところに、秋の訪れを告げる刷毛で描いたような「巻雲(けんうん、すじ雲)」や、
魚の鱗やいわしの群れのように見える「うろこ雲」や「いわし雲」(どちらも巻積雲という種類の雲)が見られる日が増えてきます。
光の変化
真夏のギラギラした日差しとは少しだけ質が変わり、夕暮れ時の光がどことなく柔らかく感じられたり、日が落ちるのがほんの少し早くなったりします。
風の変化
猛烈な熱風だけでなく、朝晩などに、ふと「あれ?少し涼しい風が吹いたかな?」と感じる瞬間があるかもしれません。
虫の声
昼間はセミの大合唱が続いていますが、夜になると「リーンリーン」と鳴く鈴虫(スズムシ)や、コオロギなど、秋の虫の声が聞こえ始めるのもこの頃です。
昔の人は虫の声の変化で季節の移ろいを感じ取っていたんですね。
また、この時期はお盆(旧暦の7月15日を中心とした期間。新暦では主に8月13日~16日頃)と重なることが多く、
ご先祖様をお迎えする準備をしたり、故郷へ帰省したりする人も増える、日本人にとっては特別な時期でもあります。
立秋に食べると良いとされるもの – 残暑を乗り切り、初秋の味覚を先取り
暦の上では秋とはいえ、体はまだまだ夏の疲れを引きずっています。引き続き、夏バテ防止を意識した食事が大切です。
同時に、少しずつ出始める「秋の味覚の走り(旬の先駆け)」を楽しむのも良いでしょう。
体を冷やす夏野菜
- 冬瓜(とうがん): 名前に「冬」とありますが、夏が旬の野菜。約95%が水分で、体を冷やす効果が高いと言われます。煮物やスープ、あんかけなどで。
- きゅうり、なす、トマトなど: まだまだ美味しい夏野菜。水分やカリウムが豊富で、体の熱を逃がす手助けをしてくれます。
- 初秋の味覚(走りの味を楽しむ):
- 梨(なし): みずみずしく、シャリシャリとした食感が残暑にぴったり。水分補給にもなり、体を潤してくれます。
- ぶどう: デラウェアのような早生品種から、巨峰なども出回り始めます。糖分がエネルギー補給になり、ポリフェノールも豊富です。
- いちじく: 優しい甘さと独特の食感。食物繊維やミネラルが含まれています。
- かぼちゃ、さつまいも(早生品種): これから旬を迎える野菜ですが、早いものが出始めます。夏に消耗した体力を補う栄養素が豊富です。
- その他(夏バテ対策の定番も):
- そうめんなどの冷たい麺類: 食欲がない時でも食べやすいですが、薬味や具材で栄養をプラスしましょう。
- 梅干し、甘酒: 汗で失われた塩分・ミネラル補給や、疲労回復に役立ちます。
「へえ~!」豆知識:お盆のお供え物 お盆には、ご先祖様が使う乗り物として、きゅうりで作った「精霊馬(しょうりょううま)」と、なすで作った「精霊牛(しょうりょううし)」をお供えする風習がありますね。

きゅうりの馬は「早く帰ってきてほしい」、なすの牛は「ゆっくり帰ってほしい(または、お供え物をたくさん積んで帰ってほしい)」という願いが込められていると言われています。
これも立秋の頃の風物詩の一つです。
立秋の頃の過ごし方 – 残暑対策を万全に、秋の気配を楽しむ
立秋を迎えても、暑さ対策は絶対に油断できません。「残暑」という言葉通り、厳しい暑さは続きます。
残暑対策の徹底
大暑の頃と同様、こまめな水分・塩分補給、エアコンの適切な使用、外出時の暑さ対策(帽子、日傘、服装など)は必須です。
特に、お盆の帰省や旅行などで移動が多い時期でもあるので、移動中や屋外での熱中症には十分注意しましょう。
秋の気配を探してみる
暑い中でも、少しだけ空を見上げて雲の形を観察したり、夜に虫の声に耳を澄ませたりしてみましょう。
「あ、少し秋が近づいているかも」と感じられると、厳しい暑さの中でも少し心が和むかもしれません。
お盆の準備・参加
お盆は、一般的に8月13日~16日頃に行われる、ご先祖様の霊をお迎えし供養する日本の伝統行事です。
ご先祖様をお迎えする「迎え火」や、お送りする「送り火」(京都の五山送り火が有名ですね)など、地域や家庭の習慣に沿って、静かに故人を偲ぶ時間を持つのも良いでしょう。
残暑見舞いを送る
立秋を過ぎてから出す季節の挨拶状は「暑中見舞い」ではなく「残暑見舞い」になります。
お世話になった方へ、健康を気遣う便りを送ってみてはいかがでしょうか。
出す時期は、一般的に立秋(8月7日頃)から8月末頃までとされています。
夏の疲れをケアする
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、睡眠時間をしっかり確保したりして、夏の間に溜まった疲れを意識的に取るようにしましょう。
まとめ – 立秋を知り、賢く残暑を乗り切ろう!
今回は、二十四節気の一つ「立秋」についてご紹介しました。
立秋は、一年で最も暑い時期に訪れる「暦の上での秋の始まり」。
実際の暑さと暦との間にギャップがある、ちょっと面白い節気です。
この日から始まる「残暑」は体にこたえますが、同時に、自然界ではほんの少しずつ秋への移り変わりが始まっています。
厳しい暑さ対策は続けながらも、梨やぶどうといった初秋の味覚を楽しんだり、空や虫の声に秋の気配を探したりすることで、季節のうつろいを感じてみてはいかがでしょうか。
まだまだ続く暑さに負けず、上手に体調管理をしながら、この時期ならではの行事や自然の変化を楽しんで、元気に残暑を乗り切りましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。